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亀の赤ちゃん図鑑 — 500円玉からはじまる人生

生まれた瞬間から、誰にも育てられずに生きていく。小さくて、けなげで、意外とたくましい子亀たちの話です。

手のひらどころか、指先サイズ

生まれたての子亀は、種類にもよりますが甲羅の長さ3〜5cmほど。500円玉と同じくらいのサイズから人生(亀生)が始まります。アオウミガメの子でも約5cm——あの1mを超える大きな体は、すべてここからのスタートです。

小ささは可愛さであると同時に、弱さでもあります。子亀の時代は鳥・魚・カニ・哺乳類、あらゆる捕食者に狙われる、亀の一生でいちばん危険な季節です。

砂浜を海へ向かって歩くウミガメの子亀
海をめざすアオウミガメの子 ・ 写真: Stefan Hunt, Wikimedia Commons (CC BY 3.0)

卵歯(らんし)——一度だけ使う道具

子亀は、くちばしの先にある「卵歯(カルンクル)」という小さな突起で内側から卵の殻を破って生まれてきます。この道具は孵化のときに一度だけ使われ、その後は自然になくなってしまいます。

殻を破ってもすぐには出てきません。お腹に残った卵黄(ヨークサック)を吸収しながら、数日かけて外に出る準備をすることもあります。生まれる前から、亀はマイペースなのです。

親は、育てない

亀の子育ては、潔いほどシンプルです——「産んだら、終わり」。母亀は卵を産み場所を選んで丁寧に埋めますが、孵った子と再会することはありません。子亀は生まれた瞬間から、食べ物探しも敵からの逃げ方も、すべて自前です。

誰にも教わらずに海の方角がわかり、泳ぎ方を知っている。小さな体に、2億年分の生存マニュアルがあらかじめ書き込まれています(ウミガメの大脱走はウミガメの産卵特集へ)。

カミツキガメの子亀
カミツキガメの子。どこにいるか、わかりますか? ・ Wikimedia Commons (CC0)

砂の温度が、性別を決める

多くの亀では、卵のときの温度で性別が決まります(温度依存性決定)。ウミガメでは、砂が温かいとメスが、涼しいとオスが多く生まれるとされます。

だからこそ、温暖化は亀の未来に直結します。産卵地の砂が熱くなりすぎると、生まれる子がメスばかりに偏ってしまう——子亀の可愛さの裏には、そんな現在進行形の課題もあります。

ウミガメの産卵亀の飼い方