亀図鑑

ウミガメの海

地球の海をまたいで旅する7種。ダイビングで出会うために、そして出会いつづけるために知っておきたいことをまとめました。

息継ぎのため水面へ向かうアオウミガメ
写真: Brocken Inaglory, Wikimedia Commons (CC BY-SA 3.0)

→ 特集「ウミガメの産卵 — 浜辺のいちばん長い夜」もどうぞ

世界のウミガメは、7種だけ

何百種もいる亀の中で、海で一生を過ごすウミガメはたった7種です。アカウミガメ、アオウミガメ、タイマイ、ヒメウミガメ、ケンプヒメウミガメ、ヒラタウミガメ、そして甲羅が革質のオサガメ。この7種が、熱帯から温帯までの海を回遊しながら暮らしています。

7種のうち日本の海で記録があるのは5種。ダイビングや磯遊びで出会う可能性があるのは、主にアカウミガメ・アオウミガメ・タイマイの3種です。

日本は、ウミガメの大切な産卵地

実は日本の砂浜は、世界のウミガメにとって特別な場所です。北太平洋で生まれるアカウミガメの主要な産卵地は、日本の砂浜にほぼ限られています。屋久島や徳島・和歌山・宮崎などの浜に、初夏の夜、母亀が上陸します。

アオウミガメは小笠原諸島が国内最大の繁殖地で、タイマイは南西諸島のサンゴ礁の海で暮らし、産卵します。あなたが海水浴をしているその浜が、太平洋を旅する亀たちの生まれ故郷かもしれません。

砂浜に巣を掘るアオウミガメ
浜に巣を掘るアオウミガメ ・ 写真: GretelW, Wikimedia Commons (CC BY-SA 4.0)

水中での見分け方

アオウミガメ: 頭が小さく丸顔で、甲羅のふちが滑らか。海草を食べるため、浅い藻場でよく出会います。ダイバーが一番よく会うのはこの種です。

アカウミガメ: 頭が大きくがっしり、全体に赤褐色。貝やカニを噛み砕く力自慢です。

タイマイ: くちばしが鳥のように尖り、甲羅のふちがギザギザ。サンゴ礁でカイメンを食べています。べっ甲細工の「べっ甲」はこの亀でした(現在は国際取引禁止)。

藻場で海草を食べるアオウミガメ
藻場で海草を食むアオウミガメ ・ 写真: P.Lindgren, Wikimedia Commons (CC BY-SA 3.0)

出会ったときのマナー

追いかけない、触らない、行く手をふさがない。この3つだけ守れば、ウミガメは案外そばで泳がせてくれます。特に大事なのは浮上の邪魔をしないこと——ウミガメは息継ぎのために水面へ上がる爬虫類です。頭上を塞がれることを嫌います。

産卵期の夜の砂浜では、ライトやフラッシュ、足音が母亀の上陸をやめさせてしまいます。産卵を見たいときは、自治体や保護団体が実施している観察会に参加するのがいちばん確実で、亀にもやさしい方法です。

ウミガメの海で、いま起きていること

7種のうち多くが絶滅危惧種です。漁網への混獲、海洋プラスチック(クラゲと間違えてレジ袋を食べてしまう)、砂浜の減少と光害——孵化した子亀は明るい方へ向かう本能があるため、街の光に惑わされて海と反対へ歩いてしまうことがあります。

産卵地の保全団体への寄付や、ビーチクリーン、そして観察マナーを守ること。ダイバーと海遊びの好きな人こそ、ウミガメのいちばん近くにいる味方になれます。

海を目指すアオウミガメの子亀
生まれたばかりの子亀。この一歩から数十年の旅が始まります ・ 写真: Stefan Hunt, Wikimedia Commons (CC BY 3.0)