特集

亀と神社 — 神さまの使いになった亀

亀が神使をつとめる神社、名前に亀を宿す天神さま、池にひしめく亀たち。鳥居の向こうは、亀の聖域でもあります。

亀が神使の神社 — 京都・松尾大社

神社には、神さまの使いとされる動物「神使(しんし)」がいます。稲荷の狐、天神の牛、八幡の鳩——そして京都最古級の神社のひとつ、松尾大社の神使は亀と鯉です。

境内には霊泉「亀の井」が湧き、水を運ぶ亀の像や、撫でると長寿にあやかれるとされる「撫で亀」が参拝者を迎えます。お酒の神様としても名高い松尾大社で、亀は水と長寿の象徴として、千年以上大切にされてきました。

名前に亀を宿す — 亀戸天神

東京・亀戸天神社は、藤の名所として、そして太鼓橋と池の亀たちで江戸時代から愛されてきました。北斎も「諸國名橋奇覧」でこの太鼓橋を描いています。

「亀戸」の地名は亀にちなむとされ(諸説あります——詳しくは名前の由来辞典へ)、天神さまの池は今日も甲羅干しの名所です。藤の花の下、橋の上から池を見下ろすと、江戸の人々と同じ景色に亀がいます。

葛飾北斎が描いた亀戸天神の太鼓橋
葛飾北斎「かめゐど天神たいこはし」 ・ メトロポリタン美術館 (CC0)

なぜ、神社の池には亀が多い?

寺社の池に亀が多いのには、理由があります。ひとつは「放生会(ほうじょうえ)」——捕らえた生き物を放して功徳を積む、古くからの仏教行事です。亀は放生の代表格で、寺社の池は何百年も亀の安住の地でした。

もうひとつは現代の事情で、飼えなくなった亀が池に放されてきた歴史です。いま池にいる亀の多くはアカミミガメ。功徳のつもりの放流が、今は生態系と法律の問題になります。神社の亀は「見て拝む」だけにしましょう。

境内で亀をさがす

神社仏閣は、亀の意匠の宝庫でもあります。手水舎の吐水口の亀、灯籠や彫刻に隠れた亀、石碑を背負う亀趺(亀と神話へ)。長寿と吉祥の象徴として、亀は建築のあちこちに彫り込まれています。

次の参拝では、御朱印と一緒に「境内の亀」を探してみてください。池の亀、石の亀、木彫りの亀——見つけた数だけ、参拝がすこし楽しくなります。

亀に会いに行く旅亀とお城