特集
亀に会いに行く旅
産卵の浜から、都会の池、ハワイの浜辺、ガラパゴスまで。世界は思ったより、亀に会える場所でできています。
産卵の浜へ — 屋久島・徳島・和歌山
初夏の日本には、母亀に会える浜があります。国内最大のアカウミガメ産卵地・屋久島の永田浜。「日本ウミガメ博物館カレッタ」のある徳島県美波町の大浜海岸。和歌山県みなべ町の千里の浜。いずれも見学は自治体・保護団体の観察会に参加するのがルールです(産卵特集に心得をまとめました)。

水族館で会う — 名古屋港・美ら海・紀宝町
季節を問わず確実に会いたいなら、水族館です。名古屋港水族館はウミガメ研究で知られ、人工の砂浜を備えた回遊水槽では、悠々と泳ぐアカウミガメを目の前で観察できます。
沖縄の美ら海水族館では、海洋博公園内の「ウミガメ館」で複数種のウミガメを飼育。エメラルドビーチを望むプールで、青い海を背景に泳ぐ姿に会えます。
そして知る人ぞ知る名所が、三重県紀宝町の道の駅 紀宝町ウミガメ公園。道の駅に「ウミガメ水族館」が併設された、ウミガメ保護・啓発の拠点です。大きなプールを泳ぐウミガメたちに旅の途中で気軽に会えて、日本では珍しいクロウミガメの飼育展示でも知られます。紀宝町の井田海岸はアカウミガメの産卵地——町ぐるみで亀を守っている土地です。



都会で亀に会う — 池と堀と寺社
遠出しなくても、亀はすぐそこにいます。東京なら亀戸天神社——藤の名所として知られる境内の池は、亀たちの楽園です。上野の不忍池、そして全国の城の堀(亀とお城特集へ)。
大阪の四天王寺には、その名も「亀の池」があり、石舞台の周りに亀がひしめきます。寺社の池の亀には、放生会(ほうじょうえ)——命を放して功徳を積む仏教行事——の長い歴史が絡んでいます。ちなみに東京の亀有と亀戸、地名の由来はどちらも一筋縄ではいきません(名前の由来辞典へ)。
ハワイ — ホヌの島
ハワイでアオウミガメは「ホヌ」と呼ばれ、幸運と海の守りの象徴として大切にされています。オアフ島ノースショアの浜では、昼間からホヌが砂浜に上がって昼寝をする姿に出会えます。
ただしホヌは州と連邦の法律で守られており、触ることはもちろん、近づきすぎることも禁止。ボランティアが浜で見守っています。離れたところから、寝顔をそっと眺める——それがハワイ流の亀との付き合い方です。

ガラパゴスとセーシェル — ゾウガメの島へ
「いつかは」の旅先の筆頭は、やはりガラパゴス諸島。ダーウィンに進化のヒントを与えたゾウガメたちが、いまも霧の高地を歩いています。島ごとに甲羅の形が違う姿は、図鑑で読むのと実際に見るのとでは説得力がまるで違います。
インド洋派にはセーシェル。アルダブラゾウガメの世界最大の群れが暮らし、プララン島などでは半野生の個体に出会えます。ジョナサン(世界最高齢の亀)のふるさとでもあります。

台湾・小琉球 — いちばん気軽なウミガメの海
日本から数時間で行ける「ほぼ確実にウミガメと泳げる島」が、台湾の小琉球(リウチウ)です。島の周囲にアオウミガメが定住しており、シュノーケルでの遭遇率の高さで知られます。
ここでも心得は同じ。追わない、触らない、行く手をふさがない。亀の生活圏にお邪魔している、という気持ちを忘れずに。

ライブカメラで会う — 移動距離0mの亀旅
旅に出られない夜は、ライブカメラという手があります。和歌山の串本海中公園は、ウミガメの産卵から孵化までをYouTubeでライブ配信しています(孵化シーズンの8月中旬以降は週3〜4日・夜間。配信予定は公式Xで告知)。画面の向こうで子亀が砂から出てくる瞬間に立ち会えるかもしれません。
海外派には、アメリカ・フロリダのクリアウォーター海洋水族館。保護されたウミガメのリハビリプールを無料のウェブカメラで公開しています(メンテナンス等で停止していることもあります)。時差の関係で、日本の夜はフロリダの朝。寝る前に、地球の裏側の亀の朝ごはんをのぞく——そんな亀旅もあります。
亀旅の心得
亀に会う旅は、亀の暮らしにお邪魔する旅です。距離を保つ、光を向けない、餌を与えない、そして帰ったら手を洗う。この4つを守れば、亀旅はどこまでも楽しい趣味になります。
会いに行った先で撮った1枚が、この図鑑の何という種なのか調べる——そこまでがKamepedia流の亀旅です。



