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亀とお金と切手 — 経済をめぐる亀

ヨーロッパ最初期のコインに刻まれたのはウミガメでした。銭亀、亀の切手、そして「ゆっくり貯める」哲学まで。

最初期のコインは、亀だった

紀元前6世紀、ギリシャのアイギナ島は、ヨーロッパで最初期の鋳造コインを発行した地のひとつです。海運で栄えたこの島が銀貨に刻んだのは——ウミガメでした。

この銀貨は地中海世界で広く流通し、通貨そのものが「亀(ケローネー)」と呼ばれたと伝わります。人類の貨幣経済の入口に、亀が刻まれていたのです。

ウミガメが刻まれた古代ギリシャ・アイギナ島の銀貨
アイギナ島の銀貨(紀元前480〜457年頃、ベルリン国立博物館) ・ 写真: ArchaiOptix, Wikimedia Commons (CC BY-SA 4.0)

日本の「銭亀」

日本でお金と亀を結びつけたのは、江戸の人々でした。小さな子亀の甲羅を穴あき銭に見立てた「ゼニガメ」は、金運の縁起物として愛されてきました(名前の由来辞典へ)。

亀を大切にすると富に恵まれる——という感覚は、放生会の功徳や「亀は万年」の長寿信仰と混ざり合いながら、いまも縁起物の亀グッズに生きています。財布に亀のお守り、という文化は健在です。

切手のなかの亀

亀は、切手収集の世界でも人気者です。ウミガメの産卵地を持つ世界中の国や地域が、誇りをこめて亀切手を発行してきました。日本でも自然保護シリーズなどでウミガメやリクガメが切手になっています。

「亀切手だけを集める」というテーマ収集は、世界地図と絶滅危惧種のリストを横断する、実は骨太な趣味です。小さな紙の上の亀たちは、その国の海と自然の広告塔でもあります。

亀に学ぶ、お金の哲学

最後にひとつ、こじつけを承知で。亀の資産運用は「複利」です。急がず、減らさず、時間を味方につける——190歳のジョナサンが体現しているのは、時間×継続の圧倒的な力です。

うさぎとかめの教訓は、投資の世界では格言そのものとして通用します。ゆっくりは、強い。亀がコインに刻まれたのは、案外正しい人選だったのかもしれません。

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